【2024本屋大賞】本好きがノミネート10作品を予想したら○冊ピタリ|予想と結果を一覧で紹介します!
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今年もこの季節がやってきました。年に一度の本好きの本好きによる本好きのための祭典「本屋大賞」。
本屋大賞は全国の書店員さんの投票により受賞作品が決まりますが、その一次投票が例年通り2023年12月1日より開始されました。
この記事では、そんな2024年本屋大賞にノミネートされそうな候補10作品を予想するとともに、選出理由もインタビュー形式で詳しく語ります。
2024年本屋大賞の概要、スケジュール
2024年本屋大賞の発表はいつ?
まずは、2024年本屋大賞の実施要項とスケジュールを確認しておきましょう。
\ 2024年本屋大賞スケジュール /
日程 | イベント | |
---|---|---|
2023年 | 12月1日(金) | 投票スタート(小説部門一次投票、発掘部門、翻訳小説部門) |
2024年 | 1月8日(月祝) | 投票締め切り(小説部門一次投票、発掘部門) |
2月1日(木) | 小説部門ノミネート10作品発表、二次投票スタート | |
2月12日(月祝) | 投票締め切り(翻訳小説部門) | |
2月29日(木) | 二次投票締め切り(小説部門) | |
4月10日(水) | 大賞作品、発掘部門、翻訳小説部門の結果発表 |
本屋大賞(小説部門)は12月1日より一次投票を受付開始。一次投票期間は1月8日まで。投票の結果、上位10作品をノミネート作品として発表。さらに2月1日より二次投票を実施し、4月10日に大賞が決まります。
実施要領やスケジュールは例年通りですね
2023年に休止されたノンフィクション部門は、
残念ながら今年も実施されないようです
2024年本屋大賞の対象作品は?
2024年本屋大賞の選出対象となる作品には以下の条件があります。
\ 2024年本屋大賞の対象作品 /
部門 | 対象作品 |
---|---|
本屋大賞(小説部門) | 2022年12月1日~2023年11月30日に刊行された日本の小説(判型問わずオリジナルの小説) |
翻訳小説部門 | 2022年12月1日~2023年11月30日に日本で刊行された翻訳小説 |
発掘部門 | ジャンルを問わず、2022年11月30日以前に刊行された作品 |
対象となる作品の条件も例年通りです
2023年に私が読んだ約200冊のうち、対象条件に該当するのは約100冊。その中からノミネート候補作を10作品選出したいと思います。
本屋大賞ノミネート作品の傾向
2024年本屋大賞ノミネート候補10作品の予想を発表する前に、近年の本屋大賞ノミネート作品の傾向をおさらいしておきましょう。この傾向をもとに予想します。
ノミネートしやすい作品 | ノミネートしにくい作品 |
---|---|
一般ウケしやすいエンタメ作品 世界観に惹き込まれる感動の長編 人気作家は数年間連続で選出 | 純文学作品 本格ミステリ作品 シリーズ作品 |
ジャンル
本屋大賞はジャンルでいうと純文学、本格ミステリ、そしてシリーズ作品はノミネートしにくい、もしくはノミネートしても順位が伸びにくいという特徴があります。
「売り場からベストセラーをつくる」というコンセプトに沿った、読書初心者にも読みやすいエンタメ寄りの大衆小説が中心となります。
作風
昨年2023年本屋大賞のトップ3である「汝、星のごとく」「ラブカは静かに弓を持つ」「光のとこにいてね」に代表されるように、近年の上位作品は登場人物の心情描写を丁寧につむぎ、世界観に惹き込まれる感動の長編大作の票が伸びやすい傾向にあります。
作家
昨年2023年本屋大賞は10人中4人、一昨年2022年本屋大賞は10人中5人が以前に本屋大賞へノミネートした経験のある作家の作品が選ばれています。つまり、初ノミネートする作家はおおよそ10人中半数程度ということになります。
また昨年時点で町田そのこさんと青山美智子さんは3年連続、一穂ミチさんは2年連続と、人気の作家さんは何年も連続してノミネートする傾向にあります。(本屋大賞20年の歴史の中で13作品もノミネートしている伊坂幸太郎さんはレジェンド)
これらの傾向を踏まえて10作品を予想します
2024年本屋大賞ノミネート候補10作品の予想
お待たせしました。それでは2024年本屋大賞ノミネート候補10作品の予想をインタビュー形式で発表します。
語り手はわたくし管理人のるきです
インタビュアーは助手のつきが務めます
以下の会話はすべて管理人るきの頭の中で実施したものです。温かい目でお付き合いください。(シュール…)
①本命『リカバリー・カバヒコ』青山美智子
つき では早速ブックキュレーターのるきさんに、2024年の本屋大賞ノミネート候補10作品を予想していただきましょう。まずは、この作品だけは絶対にノミネートすると自信のある本命作品を教えてください。
るき はい。まず1作目は青山美智子さんの『リカバリー・カバヒコ』(光文社)です。青山さんは2021年~2023年まで3年連続のノミネートで2位→2位→5位と軒並み上位にランクインしており、今年こそ本屋大賞受賞を期待する読者も多いと思います。今作も青山さんの代名詞である優しくホッコリする連作短編ですが、特に最終話の「和彦の目」が良かったです。そのため青山作品の中でも指折りの読後感が味わえ、まるで映画のエンドロールを見ているように浸ってしまいました。本屋大賞受賞に向けて太鼓判を押します。
\ 優しい癒しの物語 この作品が嫌いな人はいないと思う /
②本命『黄色い家』川上未映子
つき るきさんが大好きな青山作品!早速1作目で登場しましたね。他にも本命の作品はありますか?
るき 本命作品はもう一冊。川上未映子さんの『黄色い家』(中央公論新社)です。こちらの作品はお金に苦労し、お金に憑りつかれた女性を描いた作品ですが、胸が締め付けられる苦しい描写が多く、作品の世界観にのめり込むという意味では今年一番の読み応えでした。読者の関心が高い「お金」をテーマにした作品であることと、心が揺さぶられる超大作という点で近年の本屋大賞ノミネート作品の傾向にもガッチリ当てはまることから、本屋大賞受賞も視野に入れた実力・評判ともに自信をもって推したい作品です。
③対抗『わたしたちに翼はいらない』寺地はるな
つき 本命の2作品はどちらも大賞受賞まで期待できるということですね。では続いて対抗となる作品を教えてください。
るき 対抗作品の一冊目は、寺地はるなさんの『わたしたちに翼はいらない』(新潮社)です。こちらの作品は他人の行動に苦しみ、他人の言葉に傷つき、劣等感や嫌悪感を感じながら生きる登場人物たちに共感しかありませんでした。帯にサスペンスと謳ってあるだけあり、切れ味するどい言葉にハラハラさせられることも……。しかし、他人の痛みがわかる寺地さんの文筆力に感じるものがあると思うので、世知辛い世の中だからこそ生きづらさを感じている人に読んで欲しい作品です。
\ 子育て世代におすすめのちょっぴりビターな物語 /
④対抗『なれのはて』加藤シゲアキ
つき 寺地作品は単にハッピーエンドでは終わらせないように、物語に解釈の幅を持たせているように感じます。読者の人生経験によって捉え方が異なるというのも素敵ですよね。さて、他にも対抗作品はありますか?
るき もう一作、自信をもっておすすめしたいのが加藤シゲアキさんの『なれのはて』(講談社)です。この作品は本当にすごい読書体験をさせてもらいました。一枚の絵画の謎を追い、大正~令和と時代を飛び越えて展開していくスケールの大きいミステリであり、執筆に3年を費やしたという渾身の超大作。歴史や専門的な知識をしっかり取材ながら、緻密にプロットを組み上げたことが作品からにじみでています。探求心や好奇心をくすぶられる、とても高い完成度に仕上がっています。
⑤ミステリ『ちぎれた鎖と光の切れ端』荒木あかね
つき うーむ、対抗の2作品も非常に興味深いですね。次に本屋大賞では票が伸びにくいと言われつつも、近年大人気のミステリジャンルからはいかがでしょうか?
るき 今年も面白いミステリ作品はたくさん刊行されました。その中でも荒木あかねさんの『ちぎれた鎖と光の切れ端』(講談社)は本格ミステリとして頭一つ抜けた存在です。荒木さんは昨年23歳にして史上最年少で江戸川乱歩賞を受賞した期待の新星。デビュー2作目にしてこの出来は見事です。舞台はミステリ好きにはたまらない特殊環境である絶海の孤島、すなわちクローズドサークル。夕木春央さんの『十戒』(講談社)とも迷いましたが、ストーリーのわかりやすさと二部構成という斬新な設定により本作を選びました。
\ 推理小説に留まらない人間ドラマと圧巻の二部構成 /
⑥ミステリ『午後のチャイムが鳴るまでは』阿津川辰海
つき 荒木さんは今後も楽しみな本格ミステリ作家ですね。他にもミステリからの選出はありそうですか?
るき もう一作品はミステリジャンルと言えど全くテイストの異なる作品を。阿津川辰海さんの『午後のチャイムが鳴るまでは』(実業之日本社)です。本格ミステリのイメージが強い阿津川さんですが、本作はほのぼのとした傑作学園ミステリ。学校の昼休みというカオスな時間を、遊び心あふれるコミカルな文章で描くに留まらず、ミステリ作家らしい最高のオチまで含めて読後は「ブラボー!」と叫びたい気分になりました。昨年の『#真相をお話しします』のように、ミステリを読みなれていない読者層にもおすすめしたい渾身の一冊です。
\ ユーモアあふれる最高の伏線回収 /
⑦新星『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
つき ミステリは今年も健在ですね!新星と言えば、昨年2023年『ラブカは静かに弓を持つ』で2位にランクインした安壇美緒さんはデビュー3作目、一昨年2022年にいたっては『同志少女よ、敵を討て』の逢坂冬馬さんはデビュー作で大賞を受賞しました。近年は新進気鋭の作家の躍進も目立ちますが、今年はいかがでしょうか?
るき 今年デビューした作家さんの作品も何冊か読ませていただきました。その中でも宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)と須藤古都離さんの『ゴリラ裁判の日』(講談社)は出色の作品であると思います。でも、より推したいのは読むと元気が出るという点で青春物語の『成瀬~』に軍配。「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」というインパクトのある書き出しからガツンと心を奪われました。続編の発売も決定しており、成瀬シリーズとしてこれからも読者をクスッと笑わせてくれるでしょう。
\ 成瀬の一挙手一投足が尊いハートフルな青春物語 /
⑧ダークホース『心臓の王国』竹宮ゆゆこ
つき 勢いのある新人作家さんの登場は、読書界隈の未来にとっても明るい話題ですね。では次は視点を変えて、ダークホースとなるような不気味な存在の作品はありますか?
るき ダークホースということで爆発力のある一冊を選びました。竹宮ゆゆこさんの『心臓の王国』(PHP研究所)です。本作はプロローグに”におわせ”があり、どこかで物語が転調するんだろうなと思いながら読み進めましたが、まさかの予想の斜め上をいきました。ラノベ風の楽しい文章に、余韻を感じる読後感、物語のメッセージ性。どれをとってもジェットコースターに乗っているような勢いがあります。知名度は高くありませんが、昨年の『ラブカ~』のような躍進を期待しています。
⑨推し『君が手にするはずだった黄金について』小川哲
つき ふむふむ、ダークホースと呼ぶにふさわしい作品ですね。さて、ここまで8作品。残りの2作品はるきさんの好みで選んでいただきましょう。ずばり、推し作品を教えてください!
るき ここまでも個人的な好みで選んだ感は拭えませんが……、残り2作品は本屋大賞の傾向を度外視で選びたいと思います。まずは小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』(新潮社)です。本作の主人公はまさかの小川哲。つまり著者自身を描いた自伝的な作品です。嘘をついて人を騙してお金をむしり取る友人と、フィクション作品(空想)を書いてお金を稼ぐ作家の自分に境界線はあるのか自問自答を繰り返す、小川さんのゆるくて思慮深い文章が味わえます。どこまでが事実で、どこからが物語かわからない。そんな絶妙にあいまいな新感覚の面白い作品でした。
\ 小説?ノンフィクション? /
⑩推し『存在のすべてを』塩田武士
つき コンセプトが面白いですね。さて、ついに次で最後の作品となります。張り切ってどうぞ。
るき 最後の一冊は迷いに迷いました。古内一絵さんの『百年の子』(小学館)もジーンとくる静かな物語がとても良かったのですが、塩田武士さんの『存在のすべてを』(朝日新聞出版)を推したいと思います。こちらは未解決誘拐事件から3年経って突然無傷で帰ってきた男児の「空白の3年間」を追う社会派ミステリの金字塔。続きが気になる物語への没入感が最高でした。昨年4位にランクインした『爆弾』でまだまだ事件モノに人気があることがわかったので、記者目線で真実を追う本作も本屋大賞の読者層に刺さるのではないでしょうか。
ノミネート候補外と予想した次点作品
つき 10作品が出そろいましたね!お疲れさまでした。それぞれの作品の詳しい紹介は次章で行うとして、惜しくもノミネート候補外とした作品と、その理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?
るき まず近年何度もノミネートしている作家さんの作品はすべて迷いましたね。凪良ゆうさんの『星を編む』(講談社)は昨年大賞を受賞した『汝、星のごとく』のスピンオフ的な位置づけであることから選考外としました。
つき なるほど。
るき 町田そのこさんと一穂ミチさんはそれぞれ対象期間に2冊の作品を出版していますが、いずれも短編集であり票が割れる可能性も考慮しました。逢坂冬馬さんの『歌われなかった海賊へ』(早川書房)は歴史小説家の宿命で良くも悪くも前作の印象と重なりました。こちらも話題になった多崎礼さんの『レーエンデ国物語』(講談社)は3冊のシリーズ作品で3冊分の評価となるとフェアではないので選考外としています。
つき いずれも素晴らしい作品ですが、本屋大賞の傾向から予想して選考外にしたということですね。
るき そうですね。必ずしも話題になった作品がノミネートするわけではないということです。例えば2023年上半期で一番売れた作品は村上春樹さんの6年ぶりの新作『街とその不確かな壁』(新潮社)ですが、おそらく本屋大賞にはノミネートされないでしょう。それは読書の裾野(すその)を広げるという本屋大賞の設立趣旨にも関係しますが、知名度がなくても良書を埋もれさせてはいけないという書店員さんの心情も票に反映されると思うからです。ここで名前を挙げた作品、それ以外の作品も素晴らしい読書体験ができる本が今年もたくさん刊行されているので、この記事をきっかけに本に興味を持っていただけると嬉しいですね。
つき 解説ありがとうございます。今回選んだ10作品の予想について、ずばり自信のほどはいかがでしょうか。
るき 昨年は10作品中7作品は的中したので、今年は8作品を目指します。と言いたいところですが、自分の読んだ本の中から選出したこと、自分の願望も込めた好みの作品から選出したことにより自信はまったくありません(ドヤ)!今年もたくさん新刊を読むことができ個人的には満足な一年であったので、2月1日のノミネート作品発表をドキドキワクワクしながら待ちたいと思います。
つき シュールな一人インタビューの開催をありがとうございました。
\ 昨年のノミネート10作品の予想結果/
2024年本屋大賞ノミネート候補10作品の感想・あらすじ
では、前章で選出した10作品の詳しい感想やあらすじを紹介します。
\ ノミネート予想10作品一覧 /
タイトル | 著者 | 出版社 | 刊行月 | メモ |
---|---|---|---|---|
リカバリー・カバヒコ | 青山美智子 | 光文社 | 2023-09 | 本命 |
黄色い家 | 川上未映子 | 中央公論新社 | 2023-02 | 本命 |
わたしたちに翼はいらない | 寺地はるな | 新潮社 | 2023-08 | 対抗 |
なれのはて | 加藤シゲアキ | 講談社 | 2023-10 | 対抗 |
ちぎれた鎖と光の切れ端 | 荒木あかね | 講談社 | 2023-08 | ミステリ |
午後のチャイムが鳴るまでは | 阿津川辰海 | 実業之日本社 | 2023-09 | ミステリ |
成瀬は天下を取りにいく | 宮島未奈 | 新潮社 | 2023-03 | 新星 |
心臓の王国 | 竹宮ゆゆこ | PHP研究所 | 2023-07 | ダークホース |
君が手にするはずだった黄金について | 小川哲 | 新潮社 | 2023-10 | 推し |
存在のすべてを | 塩田武士 | 朝日新聞出版 | 2023-09 | 推し |
\ 作品の詳細はタブを切り替えて下さい /
\ 優しい癒しの物語 この作品が嫌いな人はいないと思う /
新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説が。アドヴァンス・ヒルの住人は、悩みをカバヒコに打ち明ける。みんなの痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。
タイトル | リカバリー・カバヒコ |
著者 | 青山美智子 |
出版社 | 光文社 |
単行本発売 | 2023年9月 |
キーワード | アニマルライド、回復 |
-
- ほのぼの
- 5
-
- ドキドキ
- 3
-
- ウルウル
- 4
-
- ズッシリ
- 3
-
- スッキリ
- 5
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とても楽しみなラインナップね
2月1日の発表を楽しみに待ちましょう
【追記】2024年本屋大賞ノミネート10作品発表!
つき さて、るきさん。ついに2024年の本屋大賞ノミネート10作品が発表されましたね。
るき いやー、興奮しましたね。2月1日の正午は本屋大賞の公式ページを何度もリロードして待ち構えていました。
つき ではノミネートされた10作品を見ていきましょう。るきさんの予想は何冊的中したのでしょうか!
\ 2024年本屋大賞ノミネート10作品一覧 /
タイトル | 著者 | 出版社 | 刊行月 | 予想 |
---|---|---|---|---|
リカバリー・カバヒコ | 青山美智子 | 光文社 | 2023-09 | |
黄色い家 | 川上未映子 | 中央公論新社 | 2023-02 | |
成瀬は天下を取りにいく | 宮島未奈 | 新潮社 | 2023-03 | |
君が手にするはずだった黄金について | 小川哲 | 新潮社 | 2023-10 | |
存在のすべてを | 塩田武士 | 朝日新聞出版 | 2023-09 | |
星を編む | 凪良ゆう | 講談社 | 2023-11 | |
放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件 | 知念実希人 | ライツ社 | 2023-06 | |
スピノザの診察室 | 夏川草介 | 水鈴社 | 2023-10 | |
水車小屋のネネ | 津村記久子 | 毎日新聞出版 | 2023-03 | |
レーエンデ国物語 | 多崎礼 | 講談社 | 2023-06 |
つき るきさんの予想は10作品中5作品が的中。残念ながら目標にしていた8作品には届きませんでしたが、この結果についてはいかがでしょうか?
るき 今年はなかなか難しかったですね。そもそも私が予想するにあたり選考対象とした中にも入っていないノーマークの作品が3冊あったので、どんなに頑張っても8作品には届きませんでした……。
つき 8冊の壁は高いですね。では、このラインナップを見たときの率直な感想を教えてください。
るき まず特筆すべきは凪良ゆうさんの『星を編む』(講談社)です。誤解のないように大好きな作品だと前置きさせていただきますが、昨年大賞を受賞した『汝、星のごとく』の続編的な位置づけということもあって、前作ありきというところで票が割れると予想していたので意外性を感じました。でも2年連続、しかも同じシリーズ作品での大賞獲得で、凪良ゆうさんがレジェンドとなる姿も見てみたいですね。
つき 本書単独で評価されるのか、それとも続編として評価されるか。二次投票の結果も楽しみですね。
るき あとまったく予想できなかったのは知念実希人さんの『放課後ミステリクラブ』(ライツ社)です。知念さん自身は5回目のノミネートということで本屋大賞常連組ですが、この作品はなんと小中学生を対象としたシリーズ。児童書が本屋大賞にノミネートされるのは史上初めてとのことです。しかもこのライツ社は兵庫県明石市にある社員6名の小さな出版社ということで、西日本に所在する出版社で本屋大賞にノミネートされたのも史上初とのこと。過去の本屋大賞にはなかった変わり種の注目作品です。
\ お子様へのプレゼントにも最適 /
つき それは応援したくなる作品ですね。他にも気になる作品はありましたか?
るき 個別の作品ではありませんが、『星を編む』『成瀬は天下を取りにいく』『放課後ミステリクラブ』『レーエンデ国物語』とシリーズ物が4作品もノミネートしたのは予想外でした。過去の傾向からシリーズ物は本屋大賞にはノミネートしにくいと思っていたので、自分の認識をアップデートしないといけないですね。あと本格ミステリ作品は全滅だったので、やはり本屋大賞との相性が良くないことを再認識しました。
つき では最後の質問です。今回のノミネート作品はすでに売れている作品、もしくは有名作家さんの作品がずらりと並んだことについて疑問視する声も一部で聞かれたようですが、その点についてはどうお考えですか?
るき 私個人の意見ですが、その年のNo.1を決めるということで本屋大賞のノミネート10作品は「売れ筋ラインナップ」で良いと思っています。まだ見ぬ良作との出会いを求める気持ちもわかりますが、一次投票は一人3作品しか投票できないシステムである以上、知名度の低い作品はなかなかノミネートしにくいのが現状です。でも本は売れてナンボ。出版業界の未来を考えると普段あまり本を買わない層にもアプローチしていく必要があるので、初心者にも読みやすいエンタメ作品が中心の本屋大賞はある程度有名な作品で占めることは仕方ないと思います。
つき 普段から書店に足を運ぶ本好きの方にとっては売れ筋ラインナップでも、本に詳しくない方にとってはそうでない場合もありますね。たしかに、まったく知らないバンドばかりが出演する音楽フェスには行こうと思わないけれど、知っている曲があれば音楽に詳しくないわたしでも興味をもつキッカケになります。なので、注目度の高い本屋大賞はだれをターゲットにしているか、という事ですね。
るき そうですね。読書に興味がない方に「この本の名前はどこかで聞いたことがある」という状況を作り出すことが重要だと思います。売れているから読むという消費者行動は確実にあるので、それが出版業界の市場を広げることになると信じています。本屋大賞以外にも読書界隈にはプロが文学的に優れた作品を選考する様々な文学賞があるので、本好きさんには自分の読書傾向に合った文学賞を見つけてほしいですね。
つき ご意見ありがとうございました。話は尽きませんが今回はこのあたりで。来年は8作品的中を目指して頑張ってください!
るき が、がんばります……。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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\ 2024年本屋大賞ノミネート10作品一覧 /
タイトル | 著者 | audible 聴き放題対象 |
---|---|---|
黄色い家 | 川上未映子 | 配信中 |
リカバリー・カバヒコ | 青山美智子 | 配信中 |
放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件 | 知念実希人 | 配信中 |
成瀬は天下を取りにいく | 宮島未奈 | 配信中 |
スピノザの診察室 | 夏川草介 | 配信中 |
水車小屋のネネ | 津村記久子 | 配信中 |
レーエンデ国物語 | 多崎礼 | 配信中 |
存在のすべてを | 塩田武士 | 配信中 |
君が手にするはずだった黄金について | 小川哲 | 配信予定なし |
星を編む | 凪良ゆう | 配信予定なし |
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